寒い冬は1人でも鍋を食べて温まりたい




この冬は雪も少なく暖冬と言われていますが、一歩外に出ればピリピリと肌に刺激を感じる冷たい空気ですね。

先日、私は家族で寄せ鍋をやり、最後に〆としてお雑炊にして食べました。
本当に美味しくて、大満足でした。

さて、皆さんはこの冬、どんな鍋を食べていますか?
鍋と聞いてパッと思いつくのは、おでん、すき焼き、キムチ鍋、もつ鍋…
もう数えたらキリがありませんね。
最近は、トマト鍋、カレー鍋など目新しい鍋も楽しめるようになりました。

「もう色んな鍋を食べてるよ。」という人もいるでしょう。
「一人暮らしだから実家でしか鍋なんてやらないわ。」という人もいると思います。

いろいろな方が、いろいろな鍋をそれぞれの味で楽しんでいらっしゃるでしょう。

こうして今の季節にピッタリの鍋ですが、現在のような鍋料理を楽しむようになったのは江戸時代からだと言われています。
あの浮世絵にも、鍋料理を楽しんでる様子が描かれているのをご存知ですか?
鍋の歴史は意外と古くからあるんですね。

今は当たり前のように食べている鍋ですが、江戸時代はひと味違ったようです。
一体、何が違っていたんでしょうか?

ということで、私自身も大好きな鍋の歴史を皆さんと一緒に調べてみようと思います。

鍋の歴史について

あの土器で?

数ある資料、歴史書を調べてみると、鍋といっても今の形からは程遠く、あの歴史の教科書で見た縄文時代の土器のような形であったようです。

平らな所に置くことができない、底が深く尖っているような形。
まさに縄文土器です。
縄文時代に土器とはいえ、鍋としての役割を果たしていたなんて驚きですね。

鍋の語源

私たちが使っている「鍋」という言葉の語源は「肴甕(なへ)」といったそうです。

「肴」は「さかな」で、「甕」は土製の甕(かめ)のことをいいます。

平安時代の鍋

やがて平安時代の中期の頃になると、少しですが鍋に変化が現れます。
「なべ」を表す漢字は土へんの「堝」と、金へんの「鍋」が使われるようになってきました。

これはつまり、土製と金属製の素材の異なる鍋が平安時代の頃にあったということを意味しています。

この頃の鍋料理といっても今とは違い、現在では見かけなくなった囲炉裏に鍋をかけ煮炊きして、それぞれの器に取り分けて食べるという風にしていたようです。

大家族で囲炉裏を囲んで、日々の出来事を話しながら、時には喧嘩したりしながら、それでも最後は笑って美味しく皆で食べていたんでしょうか。

そんな想像をしながら鍋についてさらに調べていきましょう。

革命が起きた江戸時代

鍋料理のスタイル

囲炉裏を囲んで食べていた鍋料理も、江戸時代の中頃になって変化が訪れます。それは今風に言うとすれば、「どこでも鍋」といったところでしょうか。一つの決まった場所だけではなく、好きな場所で鍋を食べられるようになったのです。

江戸時代には、平安時代の頃から住居の形態が変わり、長屋敷に住む者も多くいました。さらには長屋敷は決して広くはないため、囲炉裏も限られた家にしかなくなっていきました。そこで囲炉裏の代わりに火鉢や七輪が普及していったのです。

こうして狭い部屋の中でも鍋ができるということで、鍋料理を楽しむようになりました。

ひと味違う鍋

浮世絵に描かれている鍋料理の様子を見ると、火鉢や七輪にかけている鍋は底が浅く小さめの鍋が描かれています。

この頃の鍋は1人か2人で食べる容量で作られ、取り分けるための食器も必要ないという手軽なものでした。

江戸時代の鍋の具

この頃には醤油、みりんなどの調味料が使われるようになり、鍋料理もさらに美味しくなっていきました。

では、江戸時代の人々はどんな鍋を食べていたんでしょうか?

江戸時代の「料理書」に、帆立など貝類、魚介類、きのこなどを鍋に入れて食べていたと書かれています。また、出来立ての豆腐を使って湯豆腐なんかも食べていたようです。今、私たちも口にしますが、むしろ江戸時代の方が新鮮で美味しかったのではないでしょうか。

他にも江戸時代の人々はいろいろな鍋を楽しんでいました。

変化し続ける鍋料理

さらに時代が進むにつれ、どじょう鍋を食べるようになったり、あんこう鍋、スッポン鍋と種類も増えました。

そういえば「すき焼き」は、なぜ「すき焼き」と言うのかご存知ですか?
江戸時代の料理書に、使い古した農具のスキを火の上に置き、そこに鴨、鹿などの肉をのせて焼き、ちょうど良い色合いになったら食べごろであると記されていることから「すき焼き」と言われるようになりました。

鍋料理というか、農具料理というか、スキで焼いたって‥凄いアイデアですよね。

このように縄文土器から始まった鍋料理も、様々に形を変えながら今日の私たちの鍋料理につながっています。今でこそ当たり前に鍋を食べていますが、こうした時代に沿った材料で明日の生きる力を蓄えるために、人々は楽しく美味しく食べてきた。そんな時間があったからこそ、さらに変化しながら私たちは今もなお食べることができているのだと思います。

そんな訳でそろそろ終わろうと思いますが、歴史の教科書に出てきた徳川家康はどんな鍋を食べたんでしょうか?
あの坂本龍馬の好きな鍋は何だったのでしょうか?
江戸っ子たちは鍋をつまみに、仲間と何を語り合ったんでしょうか?

ここまで鍋の歴史について簡単にですが書かせていただきましたが、今度は歴史上の人物が好んで食べた物なんかも調べてみようかと思いつきました。結果についてはまたの機会に。

さて、皆さんはどんな鍋料理を食べたいですか?