うちの夫は初めての出産に対しても積極的で、一緒に病院の両親学級にも行ってくれたし、妊娠・出産の本も買ってきてくれました。
立ち会いも自ら希望し、両親学級では熱心にメモまでとっては出産に備えてくれていました。
どうやら「コウノドリ」も見ていたようです。
ドラマとか漫画って、陣痛中は夫は奥さんの名前を言いながら手を握って励ますじゃないですか。
「痛いか?大丈夫か?」なんて言いながら背中をさすったり、
「がんばれ!」なんて言いながら手を握っているじゃないですか。
じゃあ、実際の陣痛もそんなもんか。ってわけじゃないんですよね。
そんな台本のような綺麗な話にはならん。と。
でも実際に経験したことのない私たちにとって、ドラマやら漫画の出産シーンは「こんな感じなのか」と勉強する機会だと思っていました。
そして、出産の本の「出産レポート」って陣痛から生まれるまでを一人のお母さんに張り付いてる記事。
あれも、まぁ綺麗なもんです。
破水して、病院に行って、夫が陣痛室に到着して少しの間。
私もそんなもんだと思ってましたよ。
まだ陣痛も生理痛程度だったんで余裕があったんです。
「ドキドキするね」
「がんばろうね」
なんて言い合ったりして…。
恥ずかし過ぎて転げ回りますわ。
何が「がんばろうね」(固い握手)なんじゃ。と(笑)
私は陣痛が遠のいてしまったので、破水も先にしていたし点滴で陣痛促進剤を入れることになったんです。
これが、まぁよく陣痛がくるくる。
どうやら後で聞いた話、自然に陣痛が起こるよりも早い感覚で、早く強めに陣痛を起こすんだとか…。
(これも効く効かないも個人差があるらしい)
徐々に段階を踏んで痛みが増していくっていうより、一気に強い痛みが段階を飛び越えてきました。
なんで、「きた!痛い〜〜!!」
「がんばれ!」(腰を強めにさする)
っていうドラマのような展開にならなかったんですね。
点滴をして1時間経つか経たないかくらいには、もう私は言葉を発することさえできませんでした…。
あれ?思ってた陣痛と違う。
なんかもっと「夫婦で頑張るぞ感」が出るもんだと思ってたのに。
これこそまさに「思ってたんと違う」やないかい。
私はこうしてほしいやらの指示も出せる余裕もなく、ただただ痛みに耐えるしかない。むしろ、体勢すら変えられない、痛過ぎて。
そんな私を見て、どうすればいいのかわからない夫。
でも、何もしなければ私に後から怒られると思って、とりあえず椅子から立って座ってを繰り返す夫。
じゃあどうしてほしいのか!
これから初めての出産で不安…。
実際、綺麗事なしで陣痛中ってどうなってしまうのか不安なあなた。
私が冷静になって「こうして欲しかった」
「これはしないで欲しかった」って思ったこと。
陣痛真っ只中はどんなもんなのかってのお話です!
わがままを言ってすみませんが…
寝転んで飲めるドリンクが欲しい!
もう、わがままなんて陣痛中くらいは思わんでくれ。
私はベッドに横たわったまま点滴を入れてもらい、いざ陣痛に挑みました。
ここから陣痛促進剤の影響もあってか、急激に痛みが来るので。
身体を起こすことができん!
陣痛の合間に、ちょっと頭を持ち上げることもできん!
え?こんなにすぐに痛いの?
と、いうか、もうすでに痛みの波が引く感覚がなくないかい?ってくらい痛いんです。
実際には3分ほどの間隔をあけて痛みの波が来ていたようなんですが。
だから、ペットボトルにストロー刺してもらっても飲めないんです。
頭を上げることもできないから。
急いで売店でウィダーインゼリーみたいな、完全に寝転んだままでも飲めるドリンクを買ってきてもらいました。
頑張ってストローで飲ませようとしてくれても、やっぱり溢れて夫が一人パニックだったからです。(私は溢されたことなんてどうでもいいほど痛いんです)
こんなに痛くて動けなくなるなんて思ってませんでした。
終盤、助産師さんがちょっとベッドを起こしてくれました。
結局ずーっと動けずに仰向けの状態のまま分娩室に行くことになります。
うちわで仰いで欲しい!
私が出産したのは雪もぱらつくような、寒い冬です。
病院にはヒートテックとタイツを着て行きましたが、病院着に着替えるときにノースリーブのシャツにして、タイツも脱ぎました。
その方がいいよーって助産師さんが教えてくれたからです。
薄い布団はありましたが、寒くて、一緒に来てくれた母はずっとダウンを着ていたくらいです。
でも、とにかく暑いんです。
だから陣痛室もそこまで暖房は効かせてないんでしょうね。
隣にいた付き添いの旦那さんも、コートを着たままでした。
序盤は夫も寒いって言って、コートを脱いでませんでした。
でもこっちはかなり暑い!
陣痛室には真冬でも扇風機が置いてありました。
私が病院に駆け込むと、まさに陣痛ラッシュ!
何組もの夫婦が陣痛室にいて、もう扇風機も全部で払っちゃったようです。
そこで夫のファインプレーです。
大事に持ってきてくれた、封筒に入れっぱなしだった入院のご案内と出産までのテキスト。
それで仰いでくれたんです。
ナイスだ夫よ!
あぁ、もういいね!ポーズもできないほど痛い…。
封筒は仰ぎにくかったようなので、うちわを準備した方がいいかもしれませんね。
汗を拭いてほしい!
私は日頃から、汗が滴り落ちるくらいに汗っかきですが。
あの時の汗はなんと表現しましょう…。
岩盤浴に数時間いて、ローリューも何回かしてきましたね?ってくらいの、まさに滝のような汗でした。
首に汗が流れていくのがわかるくらいの汗です。
顔もビッチャビチャです。
それでも拭く余裕はありません。
とにかく痛みに耐えること。
そして、呼吸を止めないこと。(赤ちゃんに酸素がいかなくなっちゃうんで)
もうこれしか私はできない。
夫も一つのことに熱中するタイプです。
もう、封筒で私を仰ぐことしかできない。
様子を見にきてくれた助産師さんが、汗を拭いてくれました。
「すっごい上手ー、いい感じよー」
何そのお料理教室の先生みたいなノリ。
え。これが上手な陣痛なの?いい感じなの?
ついでに旦那に私の汗を拭くように指示までして行ってくれました。
夫も仰ぎつつ、鬱陶しいくらい何回も汗を拭いてくれました。
心配だろうけど、そっとしておいて!
話しかけなしで欲しい!
こちらの病院では、実の母か夫のどちらか一人は陣痛室に同席できました。
夫にも休憩を…ってことで、私の母が気を利かせてくれてバトンタッチ。
そりゃ経験者の母ですもん。
私と妹、2回も陣痛を経験してきてるんですもん。
だからこそ、痛みもわかるんでしょうね。
陣痛の波を見る機械が音を立てれば、陣痛が来るってわかるんでしょうね。
「痛い?来てるよね?」
「痛い?痛い?」
いや、心配な気持ちはわかりますよ。
そりゃうん十年前の自分に重ねますよね。
聞いてくれんでも、その想像通りに痛いですから。
でも、もう私は返事もできません。
痛いんですもん。それくらい。
「痛いよね?痛い?」
なんだか申し訳なくなって、すぐに夫に代わってもらいました。
「いや、今度助産師さん来たら、もう見てられんので腹切ってやってくださいっていうとこだったわ〜」って言ってましたが…。
そんなに見られないなら陣痛室に入って来なかったらよかったのに。
そう、心配してくれなくても痛いので、話しかけないでください。
手を握らないで欲しい!
ドラマでも漫画でも良く観ますよね。
旦那さんが奥さんの手を握って、「あともう少しだから!」「大丈夫か?!」
なんてシーン。
確かに手を握ってもらえると安心はします。
これは個人差があるかもなんですが…。
私は手を離して欲しかった!!
最初、私は痛みをどうにか我慢しようと、ベッドの柵を握ってたんです。
じゃあ、硬いものを握っちゃうと自然と力入っちゃうから、タオルの方がいいよーとタオルを握らせてくれたんです。
自然にいきんでしまうこともあるんだとか…。
でも、やっぱり人間の手って骨があるから硬いじゃないですか。
痛みが来るたびに力一杯握ってしまうので、どうにかその手をタオルに戻してくれ…。
「タオル」と痛みの合間になんとか夫に訴えても、汗を拭いてくれるだけ。
そうじゃない。
手を離してくれ。
そして私の手に柔らかいタオルを握らせてくれ。
後で聞いた話、かなり私の握る力が強くて痛かったそうです。
実は実際に、陣痛中に旦那さんの手を強く握りすぎて旦那さんの骨が折れて、そのまま整形外科に行った人もいるんだとか…。
それくらいに経験したことのない痛みに女性は耐えてるんですよ〜!
ちょっと後悔…動画撮っときゃよかった
陣痛中は暴れ回ったり、暴言を吐いたり、とにかく普段とは全く違う姿になってしまう。
と、ネットやら漫画で読みました。
だから、写真、動画は絶対にお断り!!
赤ちゃんが出てくる瞬間ですら、動画はやめてくれ。
絶対にカメラは持ってこないでくれと、妊娠中から口を酸っぱくして言っていました。
幸いにも私が産んだ病院は、立ち合い出産でも旦那さんは頭の上にいます。
下半身は見えないようにしてくれて、移動も禁止になっていました。
それでも動画だけはやめてくれと言ってたんですが…。
今思うと、一瞬くらいは動画に残しときゃよかったなぁ…。
なんて、勝手にも後悔。
子育てが辛い時にその時の動画を見て、「あぁ、私こんなに頑張って産んだんだ」
「子どももこんなに頑張って出てきてくれたんだ」って噛み締めたかった…。
それに、私は産む直前の分娩台への移動は、あまりの痛さに記憶がないんです。
その時とかも、記録してもらっときゃよかった。
嫌だったら後で消せばいいんですもんね。
「暴言は吐いていないから安心して」とみんなに言われましたが。
果たして私はどんな状態で分娩室に行ったんでしょうねぇ…。
動画は盲点…当時は嫌だったけど…
妊娠後期になると、バースプランを書いて病院に提出しました。
いろいろあったんですが、写真、動画は撮りたいか。
立ち会い出産は希望か。
とかも聞かれました。
絶対に動画も写真もいやって言えば、夫が撮ろうとした段階で助産師さんが夫にNGを出してくれるんです。
なので、私は助産師さんにNGでお願いしていました。
夫は記念に赤ちゃんの出てくる瞬間は撮りたかったようですが…。
いや、多分イメージしてるような、綺麗なつるんとした赤ちゃんは出てこないよ?
だって血も出るし、赤ちゃんにももちろん血はついてると思うよ?!知らんけど。
私も赤ちゃんが出る瞬間は助産師さんが声をかけてくれたので見ましたが、一瞬だったのであんまり覚えてないんです。
元気に泣いてほっとして、その後まだ胎盤を出さなきゃだったし、こわーい会陰縫合もあるじゃないですか。
その間に赤ちゃんは身体を拭いてもらって大きさを測ってもらってたんで、私のとこに来た時にはもう服も着せてもらった状態できたんです。
これ、今だから言えますが、くそう!!動画撮っときゃよかった〜!!
夫はしっかり見たようですが、あまり血は気にならなかったと。
ちなみに、出てきた胎盤も見たようです。
私も記念に見せてもらっときゃよかった。
丸かったようです。
なんだその感想は。
不安だった陣痛中も、叫ぶことなく静かだったようなんです。
側から見たらすっごいしんどそうで痛そうで、すっごい汗かいてたけど、痛い〜!!と叫んだり暴れたりはなかったようで…。
当の私は、「絶対に呼吸を止めないで」っていう助産師さんの言いつけをとにかく守らなければ!という思いしかありませんでした。
なんだかそんなところも、動画に撮っときゃよかったな。
事前に病院で見せてもらった出産の映像は、無痛分娩だったそうなんです。
だから、めっちゃ落ち着いてるんですよ。
ほんとにこれ産んでるの?!ってくらいに。
こんなに静かに産めるの?!
ソフロロジー出産は「静かなお産」と言われているようです。
だからってこんなに穏やかに出産ってできるの?!
すっごく疑ったんですが…。
全然、穏やかではなかったですよ!!
「壮絶」その言葉はまさしくこの瞬間に使うために言葉かってくらいに、壮絶でした。
まさに私の人生の中で一番痛かった出来事だったし、一番壮絶だった体験でした。
初めての出産って、夫婦ともどもどうなるのかわからないから不安なんですよね〜。
でも一つ分かったことは!
ドラマや漫画の出産や陣痛シーンを鵜呑みにしてはいけないってことです。
お産も十人十色です。
どんなお産も命懸け!!
これだけは身近な人には絶対に忘れないでいてほしいですよね。