今更聞けないシェイクスピアー四大悲劇って?あらすじまるっとご紹介




シェイクスピアを知っていますか?
イングランドの劇作家、ウィリアム=シェイクスピアは
名前こそ知れど、実は作品の内容をあまりよく知らないという方も多いのでは?

彼の残した数多くの戯曲
有名作だけでも知っているとちょっとカッコいい!

特にシェイクスピア作品は映画化したり
有名人出演で舞台化したりもよくあります。

古典作品は難しいと思われることが多いですが
それは話を知らないで見ているから。

実は、古典というものは話を知っている前提で見るものなんですって!
日本でも、歌舞伎などは話を知った上で見る方がほとんどです。

なるほど、設定やその役のおかれた状況をわかっていれば
その気持ちに共感したり、葛藤を理解したりもしやすいですよね。
現代劇と同じようにストーリーを追おうとしたら難しいのもうなずけます。

「それ楽しいの?」と思うかもしれません。
けれど好きな映画を何度も見る方もいますよね。
結末を知っていても何度でも泣いてしまったりしますよね。
それと同じです。

とはいえ、戯曲を読むのは結構難しい。
小説と違ってセリフだけのやりとり。
心情描写はほぼなく、ト書きには役の設定や出入りの動きくらいしか書いてありません。
心の機微は役者が演技で見せよということなのですね。

(そのため、俳優はその行間を読み取る力がなければなりません。
書かれているその役の行動から、何故その行動をとったのかを考え、埋めていくのです。
ですから演出や出演者によって同じ作品でも異なって見えたりします。
面白いでしょう?)

この記事ではシェイクスピア四大悲劇をはじめ
おすすめの作品のあらすじをご紹介しちゃいます!
ちょこっと記事を読むだけで、あなたも今日からシェイクスピアマスター!?
(その上で戯曲を読んだらすんなり読めるかもしれませんね♪)

シェイクスピアの四大悲劇とは

四大悲劇の中でも一番の有名作「ハムレット」

四大悲劇とは「ハムレット」「オセロー」「マクベス」「リア王」の4つをさします。
ロミオとジュリエットは実は入っていないんですね。
一番有名な作品はやはり「ハムレット」でしょうか。
この作品からまずはご紹介いたします。

デンマークの王がある日急死をし、その弟が後を継いで王となりました。
亡くなった王の息子であるハムレットは、城に現れた亡き父の亡霊に「弟王に殺された」と聞き、復讐を決意するというのがハムレットの話のはじまりです。

恋人はハムレットを誤解し、弟王と間違われて父親が殺されたことから自死
彼女の兄は怒りの矛先をハムレットに向けます。
自分の罪を隠蔽するために躍起になる弟王にも命を狙われながら
彼の命を守るために、母親は毒杯を代わりに飲んで亡くなり
そしてハムレット自身も、父の恨みを晴らしながらも命尽きていく・・・

劇中、ハムレットは何度も迷い、葛藤を続けます。
それが如実に現れたセリフが
「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ。」
この有名なフレーズ。

彼自身もまた、復讐することが正しい選択かどうかずっとわからずにいるのですね。
そして迷いやすれ違いから生じる悲劇がだんだんと大きなものとなっていく。

復讐劇、というと私達とは程遠い話のように思いますが
彼の葛藤や悲劇を生む様は現代の私達にもあてはまる。
みんな死んでいってしまうということ自体も必悲劇ですが
その連鎖を生んでいってしまうことこそが悲劇と言えるのではないでしょうか。

ハムレットは度々映画かもされ、見るには手の届きやすい作品かと思います。
是非、チェックしてみてくださいね。

真実を見抜けなかったために・・・四大悲劇「オセロー」「リア王」

オセローはこんな物語です。
(ちなみに、筆者は四大悲劇ではオセローが一番好きです)

ムーアの軍人・オセローは、美しい妻デズデモーナを愛していた。
しかし、オセローのことをよく思っていない家来に、妻が不貞を働いていると吹き込まれてしまいます。
疑心暗鬼になったオセローは、最終的に妻を手にかけてしまい
しかし、彼女はオセローを一心に愛していたということを彼女の死の際になって知るのでした。

この作品のポイントは、はオセロー黒人であり、妻は白人であるということ。
オセローはそこにコンプレックスを抱いているように思えます。

愛されていることに自信があれば、いくら嘘を吹き込まれても信じなかったでしょう。
ですが、自信のなさ故に「ひょっとして」という思いがどんどん膨らんでしまったのでしょう。
そうなったらもう、全てが自分の考えを立証しているように見えてくるのは覚えがある方もいるのではないでしょうか。

もう一人、真実を信じられなかったために悲劇を招いた主人公が「リア王」です。

リア王には3人の娘がおりました。
高齢で退位をすることにした王は娘達に国を分割して与えることにしましたが、末娘が王に実直な物言いをしたことに立腹し、彼女を勘当、上の二人の娘に譲ることにします。

ところが、いざ退位をしたリア王は娘2人に裏切られ国を追放されることに。
フランス王妃となっていた末娘に助けを求めますが、敗戦。

誰が真に自分を想い
誰が上辺だけなのかを見抜けなかったのですね。
四大悲劇の中でも特に壮大・壮絶且つ不条理な物語です。

シェイクスピア最後の作品?罪の大きさに心を病んでいく「マクベス」

マクベスは今までに挙げた作品の中で最も短い作品です。
そのため、比較的話がわかりやすくもあります。

マクベスはスコットランドの軍人でしたが
王の殺害を妻にそそのかされ、自分が王位につくこととなりました。

しかし、殺害が露呈することを恐れたマクベスは目撃者など次々と殺害。
不安にかられるものの、「女の股から生まれた者には倒せない」という予言を信じて安泰であると自分に言い聞かせます。

一方、殺された前王の息子はイングランドに身を寄せており
有力貴族のマクダフの呼びかけでマクベス討伐に出ることとなりました。

マクベスは予言のために自分は無敵であると信じていますが
夫人の死や、マクダフの「私は母の腹を破って生まれてきた」との言葉に
信じていたものが崩れ去った絶望を感じます。
そしてマクダフと一戦交えるものの、あえなく敗退するのでした。

いかがでしたか?
もとはといえば、夫人にそそのかされたとはいえ
自分が王を殺害したことで精神を病んでいく様は自業自得ともとれ、
今までご紹介した中で一番同情の余地がありません。

ですが、マクベスはとても小心者でそこがとても人間らしく
自分の過ち、不安、重責に心を蝕んでいかれる様子はとても共感ができます(笑)
うわー、そういうことあるよねー・・・と
心がざわざわすることもあるのでは?

このマクベスは、演劇界の巨匠・故蜷川幸雄氏が
日本の戦国時代に置き換えて上演した
「NINAGAWAマクベス」がとても有名です。
(舞台が仏壇の中で行われているように見えるセットのため、仏壇マクベスとも呼ばれるそうです)

日本に置き換えられているのでとてもわかりやすいですよ。
機会があれば是非、ご覧ください。

他にもまだある!筆者のおすすめシェイクスピア作品

有名作のあらすじをおさえておこう!ロミジュリとヴェニスの商人

もうロミオとジュリエットと言えばここで語るのも憚られるほど、誰もが知っている作品ですね。
対立しあう家に生まれた二人が恋に落ち、駆け落ちしようとするも
行き違いから二人とも死んでしまうという悲劇です。

実はロミオとジュリエットって会ってから死ぬまで1週間もないんですよ。
知ってました?

続いてご紹介するのは「ヴェニスの商人」。
タイトルくらいは聞いたことがあるという方も多いのでは?

ヴェニスの商人・アントニオは、友人のために悪徳商人であるシャイロックから借金をします。
アントニオは財産が船の上にあるため、その船がつきさえすればすぐに返せるつもりでいたため、不当な契約に合意をしました。

しかし、船が難破。
シャイロックは抵当として要求をしていた、“体の肉1ポンド”を差し出すように言いました。

裁判の判決が出、シャイロックの要求が認められてしまいます。
が、判決はこう続きました。
「但し、契約にある肉1ポンド以外のものは血1滴たりとも流してはいけない。」

当然できるはずもなく、シャイロックは諦めます。
そしてアントニオの命を奪おうとしたと、逆に罪に問われてしまうのでした。

こう見ると、シャイロックが悪役でめでたしめでたしと終わるように見えます。
シェイクスピア作品の中でも喜劇に分類されるこの作品ですが
単純に喜劇としてしまっていいのか?と思えるのがこの「ヴェニスの商人」の深さ。

シャイロックは、ユダヤ人なのです。
しかも最後、罪を免除する代わりにキリスト教への改宗をさせられる。
確かに彼の行いは悪ではありますが、
セリフの中にもユダヤ人として差別されてきたであろう姿が垣間見えるのです。

シェイクスピアが何をもってこの作品を喜劇に分類したのでしょうか。

物語はとても単純ですが、とても奥が深い作品であるといえます。

シェイクスピアが誇るファンタジー!夏の夜の夢

続いてご紹介するのは「夏の世の夢」。
こちらは喜劇らしい喜劇です(笑)

森に棲む妖精の王と王妃が喧嘩をしています。
王は妖精パックに命令し、王妃の瞼に最初に見た者を愛してしまう薬を塗らせます。

同じころ、人間界では不当な結婚をさせられそうになったハーミアと
その恋人ライサンダーがかけおちをすべく森に入り
彼らを追いかけてハーミアの許嫁ディミートリアスと
ディミートリアスに恋するヘレナが追って入ってきました。

パックは気を利かせたつもりで彼らにも同じ薬を塗りますが
誤って二人の男の気持ちが両方ヘレナに向いてしまったのでさあ大変!
一方、妖精の女王は薬によってロバに姿を変えられた男を愛してしまいます(笑)

最終的に妖精の王が王妃の魔法を解いて和解、
同時に人間たちの魔法もとけ、無事に二組のカップルが誕生し大団円となりました。

めでたしめでたし、という形でわるこの作品は
ファンタジック且つ、とても面白いドタバタコメディなのですが
最後がまた、奥深いのです。
鍵となるのは妖精パック。

最後、結婚式の出し物として劇が上演されるシーンがあり
演じているのはちょっとおバカな村人たち。
ライオンが出てくるシーンでわざわざ「これは劇で偽物です」と解説をいれるなどしているのです。

そして物語の終わりに妖精パックが一人登場し口上を述べるのです。
劇中劇と同じように「これは全て物語、皆様は夢を見ていたのです」と。

ファンタジーな世界観と現実世界をわけるためにわざわざ入れたのだ、という人もいれば
劇中劇の解説を笑ってみていた観客に、パックが同じように解説をする二重構造になっているという見方をする人もいます。
(とすると、私たちの日常ももっと高みから滑稽だなあとみられている“物語”ということになるかもしれませんね)
 
どうです?考えれば考えるほど面白くないですか?

他にもあるおすすめシェイクスピア戯曲

シェイクスピアの作品は他にもたくさんあります!

有名作としては「ブルータス、お前もか」というセリフでお馴染みの
「ジュリアス・シーザー」でしょうか。
このジュリアス・シーザーという人物はいわゆるカエサルのことを指しています。

俳優の中で演じ甲斐のある役として名高い作品が
「リチャード三世」の主人公、リチャード三世。
“せむし”男である彼は、とても狡猾な野心家で
どんどんと上り詰めて王の座につきます。

2010年にアカデミー賞を受賞した映画「英国王のスピーチ」の中で
俳優志望の言語療法士が何かを演じているシーンがあるのですが
それがこのリチャード三世でした。

また、知名度としてはさほど高くありませんが
筆者が個人的に面白いなあと思うのは「十二夜」という作品です。

夏の夜の夢でも間違いが引き起こす面白さがありますが
この作品も双子の兄と妹が間違えられることが原因で恋愛も絡んだ事件が起こります。
うり二つという描写があり、妹は少年のふりをしていることもあって間違えられるのですが
いくらなんでも男女で間違えるか?と思うのです。

が、実はシェイクスピアの劇団は全て男性だったと言われています。
女性の役も男性が演じていたんですね。
だからこそ、これができたのではないかと思います。

兄と妹が一緒に出てくるシーンもあり、一人二役は難しい。
現代でどう演じられるのか、演出家・俳優の腕の見せ所であると感じます。

まだまだ謎の多いシェイクスピア

シェイクスピアは劇作家として有名な人物ですが
歴史的資料も少なく、謎も多い作家です。

彼の作品は全部で37本と言われていますが(諸説あります)
異なる国を舞台にし
しかもその描写はよく取材しなければ書けないような細かさであり
取材をするにもその時代の航海技術で各国を回ることができたのか、という疑問も残るため
実は1人の人物ではないのではないかという説まであるほどです。

解釈も様々、戯曲の中にもまだまだ謎な部分はたくさんあり
400年経ち、たくさん上演がされてきた今でも
研究はまだまだ続いています。

ちなみに・・・シェイクスピアの作品は印象としては「長い」ですよね。
それは、同じようなセリフが何度も出てきたり
前にあったことを回想するシーンが幾度となくあるから。

これは、シェイクスピアの時代はその劇を上演している最中
いつでも劇場に入ってきて良かったそうで
そのため、途中から入ってきた人でも話がわかるように
「これまでのあらすじ」を説明しているからなのだそうですよ。

そう考えると、時代の異なる現代において
同じように演じる・見るということ自体が
やはり現代劇と古典では異なってくるのかもしれませんね。

いかがでしたか?
もしほんのちょっとでも興味をもっていただけたら
映画や舞台作品、もちろん書籍にもなっていますので
是非ご覧になってみてください。
あらすじが入ったので、わかりやすくご覧になれると思いますよ♪