会議中に私が質問しても聞こえないふり、仕事上の重要な情報を意図的に私にだけ教えない、わざと大きな声で聞こえるように悪口を言う、など、パワハラというよりもまるで中学生のいじめでした。
ある時私が関わっていたとあるイベントで、上司が知らない間に告知記事が出たことがあります。
その時その上司は「こんなの聞いていない、一体誰が勝手にやったんだ、どう責任とるつもりだ!」と烈火の如く怒って会議室にチームメンバーを全員集めました。きっと私がやったと思ったのでしょう。
ところが、同僚のTさんが「あ、それやったのは自分です」と手を挙げました。「もともと告知は行う予定で、内容も問題ないと思ったので、独断で代理店にゴーサインを出しましたが…まずかったですか?」と気まずそうに言いました。
心の中で一瞬Tさんに同情していた私の顔は、次の瞬間驚きの表情に変わりました。「あ、Tさんだったの?じゃあいいや。対応してくれてどうもありがとう」ええ!?さっきまであれほど怒っていたのに急に上機嫌になり、説明しようとするTさんを遮って早々にその場は解散になりました。
この上司にとって怒りのポイントは、何をやったかではなく、誰がやったかだったようです。
人によって対応基準が変わる上司に有効な自衛策などあるはずもなく、その後もその調子でやることなすこと難癖を付けられては怒られました。
上司の態度が一変し、パワハラが始まりました。
部下として信頼してくれていました。
実はもともとはその上司には気に入られており、重要な業務をいくつも任せてくれたり、出張には毎回同行させてくれるなど、部下として信頼してくれていました。
うちの部署にで頼れるのは君しかいないと言われ、私もその期待に応えたいと必死で頑張りました。
段々と心に余裕がなくなっていったある日
しかし徐々に渡される仕事が増えていき、こなしてもこなしても未処理の案件が積み上がっていくように。
電話で取引先と話をしながら、パソコン画面では別のプロジェクトに関するデータファイルを開いてインプット作業を行い、電話を切った10分後には資料をすべて揃えてまったく別の会議に出席する、といったような目の回るような状態が朝から晩まで続きました。
段々と心に余裕がなくなっていったある日、いつものように上司から仕事を頼まれましたが、「そんなに何もかもは出来ません。見ての通り手一杯なんです。その仕事は他の人にお願いして下さい」と答えました。
その日から上司の態度が一変
すると、その日から上司の態度が一変し、パワハラが始まりました。
謝罪しても受け入れられるどころか、今後は直接話しかけるなと言われる始末。人事評価は真逆にひっくり返りました。
周囲へは、「今まであれだけ面倒を見て育ててきてやったのに」と愚痴っていたと後から知りました。
別の部下からもその上司の横暴について相談があった
気に入らない部下がいるとすぐに他部所へ飛ばす
はじめは上司に話しかけて関係修復を試みましたが、まったく取り付く島がありません。その人は以前から気に入らない部下がいるとすぐに他部所へ飛ばす人だったため、恐らく自分も飛ばされるのだろうと覚悟していました。
しかし一向に人事異動はなく、パワハラも激しくなるばかり。まともに仕事ができる環境ではないので、自分から異動願いを出しました。
異動希望は受け入れない
しかし返ってきた答えは、今携わっているプロジェクトが完了するまでは異動希望は受け入れないというもの。
しかもそのプロジェクの完了は順調に行って三年半後の予定でした。とてもそんな期間耐えられる気がしなかったので、別の部署の上司にも相談しましたが、「可哀想だとは思うが、今は耐えるしかない」というつれない返事。
そんな状態が一年も続いたこと、過度のストレスからついに不眠症になり、全身の倦怠感や食欲不振、動悸など、鬱のような症状が出始めました。
医師からは適応障害と診断
これはまずいと思い、心療内科へ相談に行き、睡眠導入剤など薬を処方してもらい、医師からは適応障害と診断されました。
そうこうしている間に、先に相談していた別部署の上司から、最近様子がおかしいが大丈夫かと訊かれたので、不眠症で通院していること、職場環境は変わらないことを話しました。
通院していることを知った彼は、そこで初めて事態が深刻だと感じたようで、上層部に掛け合ってくれました。
その話は人事部へもまわり、たまたま同時期に別の部下からもその上司の横暴について相談があったそうで、部下の管理能力を欠いていると判断され、それからほどなくして上司の方が異動になりました。
パワハラ体験談のまとめ
パワハラ上司に当たるかどうかは運次第ですし、優しかった上司が、ある日突然何かをきっかけにパワハラ上司に変身してしまうことも起こり得ます。
事前に防げるにこしたことはありませんが、そうは出来ないのが人間関係ですよね。そこでおすすめしたいのは、運悪くパワハラ上司に遭遇してしまった際には、そこから出ようと無理にもがくとますます深みにはまるので、出来る限り客観的な証拠を残しておくことです。
病院へ行って診断書をもらえば、パワハラとの因果関係を法的に証明するのは難しいかもしれませんが、少なくともそれほど追い込まれているということを周囲は認識してくれます。
100回の「つらい」よりも一度の「医者の診断」の方がはるかにパワーワードでした。
また、人事部に言われたのは、何月何日に何を言われたかという詳細を日記に残しておくようにということです。
精神的に追い詰められると、こういったことを行動に移す気力すら奪われてしまいます。そうなってしまう前に、早め早めにアクションを起こして文字通り自らの身を守ることをオススメします。
サラリーマンとして生活する以上、多少の理不尽は我慢しなければならないし、苦手な上司や部下との関係も避けては通れませんが、心と体をボロボロにしてまでやる価値のある仕事なんて私はないと思っています。