今日は仕事に行きたくないな。そう思ってしまうことは、実のところよくあることです。
私もほとんど毎日「仕事に行きたくないな、でも行かなきゃな」と思いながら朝食を食べて、着替えて、お化粧をして、家を出ていました。
でも。そんな毎日の中で、ひときわ強烈に「行きたくない」と痛切に感じてしまう日がありました。
いつも通りに身支度を整えて、いつも通りに家を出て、いつも通りの電車のいつものドアから乗って、いつもの駅に着いて、いつもの道のりを歩きながら……ふと、足が止まってしまうのです。
「……あれ? なんで私、立ち止まってるんだろう?」
自分自身でも不思議に思い、ヘンなのと苦笑をして、そして歩き出します。
「そんなに会社に行きたくないのかな」と自問してみても、喜んで仕事に行きたい日なんてそれは希少ですから、当然ながら答えは「イエス」。
「ま、しょーがないか」とため息をついて歩き出し、そしていつものように出社しました。
私の場合、足が止まる日は毎日ではありませんでした。
でも、何日かおきに同じことが起こり、そしてある日、ついに涙があふれてしまったのです。
「え? あれ? なんで?」
いつも通りのつもりでした。いつも通りに会社に出勤するその途中、悲しくもなんともなかったのに、唐突にぼろぼろと涙がこぼれだしてしまいました。
自分でも驚いてしまい、慌ててティッシュで涙をぬぐいましたが、涙はしばらく止まりませんでした。
後になって考えてみれば、仕事がハードすぎて、どうにも疲れが溜まっていた
通勤時間は片道二時間
本社に異動になり、通勤時間は片道二時間。座れる路線ならばともかく、満員電車で立ちっぱなしですから、通勤だけでかなりの体力を消耗します。
そしてお決まりの残業。人手不足で本社に呼ばれたのですから、忙しさはそれまでの日ではありませんでした。
お昼休憩も十分に取れず、毎日交代でお弁当を買いに行き、食べながらパソコンをたたき、食べ終えて歯磨きを済ませたらすぐ仕事。
残業代は一切支給されませんでした。いわゆるサビ残
労働に対して正当な報酬があれば、やりがいを感じることもできたかもしれません。ですが残業代は一切支給されませんでした。いわゆるサビ残です。
働き方改革と仰々しく叫ばれている昨今でも、そんな会社はまだまだあるはずです。
朝の六時に起床し、七時前に家を出て、九時から仕事。休憩もろくに取れず、トイレには小走りに行き、二十一時に退社して帰宅したら二十三時です。
軽く食事をとってお風呂に入ったらもう日付が変わります。
自分の趣味の時間など全くありません。
週末に遊びに行く体力も残らないという状況
せっかくの週末も、疲れ切って一日はほぼ寝たきりで過ごすような有様でした。
毎日毎日ひたすら大量の仕事に忙殺され、残業代も出ず、休憩時間もほとんどなく、週末に遊びに行く体力も残らないという状況が、多大なストレスになっていたのでしょう。
もっとも、渦中の自分はその状態が日常なので感覚がマヒしてしまっていて、今の自分の状態が異常だと感じることはできませんでした。
ぼろぼろと涙がこぼれて初めて、「自分は本当に仕事がしたくないんだ」ということを心底実感できました
ちょっと自分を振り返ってみてください
まず、自分自身でそれに気づけないと、どうにもなりません。
毎日仕事に行くのが楽しい、という人は、失礼ながら世間でも大多数ではないかと思います。
もしも「そんなことはない。自分は毎日仕事が始まるのが待ちきれない気分だ」という方がいたら申し訳ありません。
貴方はとても恵まれた方ですので、そのまま毎日お仕事頑張ってください。応援しています。
でもそれ以外の方の場合、「仕事に行きたくない」という気持ちがデフォルトになってしまっているので、それが普段通りの日常的な「行きたくない」なのか「本当に本気で仕事に行きたくない!」なのか、自分自身で判断が付けられなくなってしまっているのです。
まずは、自覚することが大事です。
酒を飲まずには眠れない
ちょっと自分を振り返ってみてください。最近の自分に、何か変わったことはありませんでしたか。
私のように、会社に向かう足がふと止まってしまう。
または、電車で赤ちゃんの泣き声に酷くイライラしてしまう、他人のちょっとした失敗が許せなくて腹を立てることが増えた、食事の量が増えた、酒を飲まずには眠れない、好きな小説を読んでもなんだか文字が上滑りして頭に入ってこない、やたらと甘いものが食べたい、などなど。
そして「なんだかちょっといつもと違うような気がする」と思えたら、どんな手段を取っても良いから、仕事をお休みしましょう。
信頼できる上司がいるならば、正直に、毎日ひどく疲れてしまって精神的にキツイので今日だけ休ませてほしい、と相談できればベストです。
自分がしんどい思いをしているというアピールにもなります。
そうでなければ、あまり褒められた手段ではありませんが、仮病も一つの方法です。身内に病気になってもらうという手段もあります。
とにかく、一日でも良いので仕事に行かない日を作ってください。
土日祝などの通常のお休みでは駄目です。平日の、本来お仕事に行くはずの日に休むのが肝要です。
かなり精神的に追い詰められている状態
私は、そうやって得た休養日の安堵や解放感が、仕事を休んだ罪悪感を軽く上回ったので、まだ大丈夫だと判断して翌日から元気に仕事に復帰しました。
一日だけとはいえ、予定外のお休みが、精神的にとても良い休養を与えてくれたと思います。
でも、もし、仕事を休んだ罪悪感の方がかなり強いようでしたら……それは、お仕事の環境を変える手段を検討してみても良いかもしれません。
自分自身が切羽詰まっているのに、自分より仕事が大事だと思ってしまったのなら、それはかなり精神的に追い詰められている状態ではないでしょうか。
仕事に行きたくない時のまとめ
まず、自分の状態を知ることです。
仕事に行きたくないというのが、日常的ないつもの感覚なのか、それとも過労やストレスで煮詰まって精神的肉体的な限界が近づいてきているからなのか、渦中にいると案外、自分自身で分からないものだからです。
日常的に感じている軽いものであれば、月並みですが気分転換とストレス発散が何より効果的です。
週末は疲れて何もしたくないと思っても、月に二回くらいは友達と約束をして外出をし、外食をしたり遊んだりして、普段と違う一日を送りましょう。
欲しいアイテムを買ったり美味しいものを食べたりも、陳腐ですが本当に効き目がありますよ。
けれどそうではなく、過労やストレスが積もり積もって危険なところまできてしまっているような気がしたら。
その場合は、仕事と距離を置いてみてください。
具体的には、平日にお休みを取るのです。できれば穏当に、それが無理ならちょっと強引にでも。
お仕事を休んでみて、自分の状況をよくよく考えてみてください。
今日はお休みだー!という安堵感や解放感が大きければ、また気分を新たに翌日から頑張ってください。
でも、仕事を休んでしまった罪悪感や後悔で満たされているようでしたら、要注意です。自分自身より仕事のことを重く考えてしまうのは危険です。
仕事のために生きてるのではなく、生きるために仕事をしているのですから、どちらを優先させるかは自明のはずです。
その時はぜひ、仕事の環境を変えられる手段をぜひ探してください。異動願いも転職も、ハードルが高そうに見えますが、いざ実際にやってみると案外なんとかなるものです。
かけがえのない自分自身を、ぜひ大事にしてください。